ザハはどこへいったのだ

 あった、あった。この写真。

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 前列のおかっぱ頭が安藤忠雄、その右隣がザハ・ハディド、そしてザハ事務所の取り巻き連中。まるで世界各地の若い男の生き血を吸って肥大する女首領、ザハ・ザ・ハット(ジャバ・ザ・ハット参照)。

 コンペに優勝して表彰式をしたときの写真だから、2012年11月。ザハはこのとき、デザイン案の中身を模型と映像を使って簡単にプレゼンしたかと思うのだが、はっきり言ってザハ本人からその意義だとか崇高なコンセプトが語られることはなかった。その後、自分の案をめぐってゴタゴタが起きている間、彼女は静観していたのか?何らかのメッセージを発したのかどうかは寡聞にして知らない。

 槇文彦先生は、ザハ案のアーチ構造が諸悪の根源、日本の設計チームで代替案をつくるしかないとおっしゃっていたが、それではやっぱりちぐはぐな設計案にしか成り得ないのではないかと思う。

 それならば、どうにかして旧国立競技場の解体を阻止するしかなかった(もう跡形もなくなってしまった)。旧国立競技場の意匠を生かして、未来に向けた新たなシンボルをつくるというなら、日本の建築界の英知や日本が持つ歴史の歩みといった、いわゆる「集合知」を総動員して、良いものがつくれたんじゃないかと、そう夢想する。

 なんせ将来の日本のシンボルだ。専門的な「建築」にこだわらなくっても、老若男女、それこそ小中学生なんかからもアイデアを募ったっていい。それをまとめ上げる場面でだけ、日本の建築家たちがその職能をいかんなく発揮すればよかった。

 だけど、そんなことは夢物語で、後戻りはできない。

 わたしの希望としては、やはり急いではいけないんじゃないかと思っている。忙しくなっちゃいけないよ。いまの状況は、推進派も反対派もヤケになる一歩手前でないか。そりゃ、ほんとにヤケになったりはしないはずだけど、そういう心持ちでコトを進めるべきなのだろうか。

 いろんなところで言われているけれど、このままつくったら負の遺産になりそうだ。未来の人たちがそれを背負い込む。いま!政治の場面で問題となっているものすべてそうだけどさ!

 だからこそ、ザハを日本に再招聘すべきだ。デザイン監修者として今も契約しているというのだが、どこまでタッチしているのか不透明だ。しっかりと、彼女自身から、何を考えてあのデザインと生み出したのか、その修正案に対して、いまのゴタゴタに関して、どう感じているのか語ってもらいたい。そして、いまから何ができるのか、示してもらおう。「何をいまさら」と周りがケチをつけるのは無しで!

 実際の設計を担当している日本の設計チームはプロ中のプロだと思うけど、今回の件に関してはさすがに困惑しているんではないか、と想像する(建築設計のことは何も知りませんが!)。そこにザハが加わって、協働していけば、何とか道は拓けてくるんでないか、ようやっと調和が生まれてくるんでないか、そう勝手の勝手に考えております。