まずは

 話すべきことが何も出てこない。ふだんは記事を散々書き散らしているのに。

 新聞記事は貧困だ。言葉が細る。決まったセオリーがある。その「型」にはまると、気持ちいい、よく書けたと思うが、言葉が途端につまらなくなる。そのつまらなさに、ときどき嫌になる。理想をかかげたくなる。自分だけの理想。ただ、それを外に見せず、証明もしないのは、ずるいよなと思った。

 「言うだけなら簡単だが、実行するのは難しい」。確かにそうだ。

 「日本のジャーナリズムは、政府広報に成り下がった」。確かにそうだ。そして1行前に戻る。

 ふだん、あらゆることへの違和感を心の内に湛えて生きている。そういったことを吐き出そうではないかと思っている。